フリーロケーションとは?在庫管理に取り入れるメリット・デメリットを解説
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EC通販事業において、生産性を高め、収益を向上させるためには、在庫管理の効率化が必要です。管理が不十分であると、ピッキングや出荷等の作業がスムーズに行えず、誤出荷等の作業ミスが発生するリスクが高まります。特に、全体の作業効率を向上させるには、ピッキング作業の効率化がポイントとなります。在庫管理やピッキング作業の効率化は、ロケーション管理の導入によって実現可能です。
ロケーション管理とは?
ロケーション管理とは、倉庫内の各保管場所にどの商品が保管されているかを把握・管理する手法です。各保管場所には番号やアドレスが設定され、商品ごとに紐付けられて管理されています。これにより、ピッキングミスの発生を防ぎ、生産性の向上につなげることが可能です。ロケーション管理の方法には、固定ロケーションとフリーロケーションの2つの方法があります。
固定ロケーションとは?
固定ロケーションとは、各商品ごとに決められた保管場所で管理する方法です。これにより、どこに何を置いているのか覚えやすいというメリットがあります。しかし、保管場所が固定されているため、空いているスペースがあってもほかの商品を置くことができないため、収納効率が低下する点がデメリットです。
このシンプルな運用方法は、費用対効果の面で優れているため、多少の収納効率の低下があっても多くの現場で採用されています。
フリーロケーションとは?
フリーロケーションとは、保管場所を流動的に変える管理方法で、空いている場所に商品を最短距離で配置していく方法です。そのため、保管スペースが有効活用でき、収納効率が高まるというメリットがあります。しかし、ピッキングやオペレーションの部分の効率が必ずしも向上するわけではありません。
フリーロケーションでは、事前に商品配置が決まっているわけではなく、入庫時に保管場所が決まるため、商品の保管場所を都度記録し、その情報を全員で共有しなければなりません。また、多品種小ロットでの商品展開が進む中、商品管理が複雑化しているため、機能性の高い在庫管理システムの導入が必要です。ハンディターミナルやスマートフォン、タブレット等を利用することで、この管理方法の欠点を補っています。
フリーロケーションでは基本的に荷物の配置換えは行わない方針です。しかし、新しい商品を後方に、古い商品を前方に配置し整理整頓を図ることがあり、これによりロット番号が古いものから新しいものへと並べられ、商品が探しやすくなります。また、ロットナンバー管理はもともと精密機械で行われていましたが、現在では食品やBtoC等の商品でも採用されています。
フリーロケーションのメリット・デメリット
フリーロケーションのメリットは、空いているスペースを有効活用できる点です。そのため、より多くの商品を保管でき、収納効率が高くなります。しかし、ピッキングやオペレーションの業務効率が必ずしも向上するわけではありません。同じ種類の商品が異なる場所に分散して保管されることが多いため、ピッキング作業に手間がかかり、結果的に作業効率が低下するというデメリットがあります。このデメリットを補う手段があれば、作業効率の向上に期待できますが、それが難しい場合には固定ロケーションでの運用が選ばれることもあります。
フリーロケーションは、倉庫のスペースを最大限に活用するために導入された管理方法です。商品のかさがある程度大きく、記憶しやすい範囲であればフリーロケーションでの管理が可能です。また、固定ロケーションとフリーロケーションを組み合わせた方法として「ダブルトランザクション方式」という管理方法もあります。これは、保管場所とピッキングエリアを分けることでピッキング業務の効率を高める仕組みです。保管ロケーションをストック用とピッキング用の2つのゾーンに分けて管理し、この方式は「ダブルトランザクションシステム」とも呼ばれています。
フリーロケーションの在庫管理に適している商材は?
フリーロケーションの在庫管理に適している商品は、入替頻度が高い商品や在庫量の変動が大きい商品、ロット管理が必要な商品等です。また、大型の商品等、比較的管理しやすい商品もフリーロケーションに向いています。例えば、インターネット通販で扱う小型商品は、同一商品を複数のロケーションからピッキングする必要が少ないため、フリーロケーションでの管理が適しています。しかし、自動倉庫の導入によっては、フリーロケーションが収納効率を低下させる場合もあるため注意が必要です。
多くの倉庫会社では、フリーロケーションや固定ロケーションの区別を明確にできない場合があります。その理由は、これらの用語に沿って管理の方法を決めているのではなく、入庫時の状況に応じて効率的な方法を柔軟に考えながら作業しているためです。その結果、倉庫運営の方法が固定ロケーションに近いか、フリーロケーションに近いかが後から決まるケースも多いため、どちらに属しているか明確に意識していないことが一般的です。
時代とともに在庫管理の手法は進化しており、ロケーション管理は在庫管理やピッキング作業の効率化に不可欠な手法となっています。適切に運用することで、生産性向上や収益改善に大きく貢献します。
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