IoTプラットフォームとは?種類や選び方のポイントを解説
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IoTプラットフォームとは?IoTの力でサービスを産み出す「基盤」
IoTプラットフォームとは、IoT(モノのインターネット)を使ったサービスをユーザーに提供するための「基盤」のことです。
そもそもIT業界における「プラットフォーム」とは、システムの「動作環境」という文脈で使われてきました。たとえば、日本のスマートフォンのシェアの半数を占めるiPhoneが、プラットフォームの1例です。
ハードウェアとしてのiPhoneにソフトウェアをインストールし、ネットワークを通じてWebサービスに接続することで、ユーザーはさまざまなシステムを利用するための「基盤」を手に入れているからです。
IoTサービスは、家電・自動車・産業機械などのさまざまなモノにセンサーをとりつけ、収集したビッグデータを解析することで、人や企業にさまざまな価値を提供するためのものです。
ITサービスをユーザーが利用するには、やはり「基盤」が必要です。ただモノにセンサーをつけただけでは、価値あるIoTサービスを産み出すことはできません。
センサーから収集した情報を管理するためには、データバンクやクラウドサービスが必要ですし、膨大な量のデータを処理するためには、専用のデータベースやソフトウェアが必要です。
エンドユーザーにIoTサービスを利用してもらうには、スマホやコンピューターで使えるアプリケーションの開発が理想的です。
そして、アプリケーションに不具合が起きたときのため、サポート体制やアフターサービスを構築しなければなりません。
こうしたIoTサービスを利用してもらうための「基盤」を総称し、IoTプラットフォームと呼びます。IoTサービスを支えるプラットフォームには、さまざまな種類があります。
また、同じようなIoTサービスでも、自社の製品と他社の製品では必要なプラットフォームが異なります。そのため、1つのプラットフォーマーがすべてのプラットフォームを提供するのは困難です。
複数の企業がパートナーシップを形成し、それぞれの強みを生かして役割分担をしています。このプラットフォーマーの協力関係のことを「エコシステム」と呼びます。
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IoTサービスにおけるプラットフォームの3つの役割
IoTサービスを支えるプラットフォームは、大きく分けて3つの役割を持っています。
末端のモノからビッグデータを収集し、分析し、新たな価値を創造するうえで、それぞれ異なるタイプのプラットフォームが求められるからです。
IoTサービスに必要なデバイスを互いに接続する
IoTサービスは、ユーザーに価値を提供する過程で、さまざまなセンサーやデバイスを活用します。
たとえば、センサー1つとっても、気象データを調べるための温度センサーや湿度センサー、物体の動きを調べる加速度センサー、自動ドアなどに使われる人感センサーなどがあります。
もちろん、ユーザーがサービスを利用するためのスマートフォンやPCも、IoTサービスに関わるデバイスの1つです。これらのセンサーやデバイスがばらばらのままでは、1つの有機的なシステムとしてまとまりません。
ネットワークを通じ、センサーやデバイスを動作可能な形で接続することで、はじめて「モノのインターネット」が産まれます。
IoTプラットフォームの第1の役割は、サービス提供に必要なハードウェアを統合することです。ハードウェアに何らかの障害が発生したときのことも想定し、保守運用やモニタリングなどのアフターサービス体制も求められます。
データを収集するための通信・クラウド環境を提供する
IoTサービスは、ユーザーに価値を提供するため、さまざまなIoT機器からデータを収集しています。
多くの場合、データを収集するIoT機器と、データを活用するユーザーや、データを保存するためのデータセンターは遠く離れています。
たとえば、自宅で医師のケアを受けられる在宅診療サービスや、遠隔地の子供や高齢者などの見守りサービス、高速道路の渋滞状況をモニタリングするサービスなどは、末端のモノとデータ利用者が別の場所にいることを前提としたIoTサービスです。
そのため、収集したデータを利用者やデータセンターへ送るための通信・クラウド環境が必要です。
多くのIoT機器には、通信モジュールやネットワーク接続環境などのプラットフォームが用意され、インターネットを通じて収集したデータを送信できるようになっています。
最近は安価なクラウドサービスを利用し、物理的なデータセンターではなく、仮想化されたクラウド環境に収集したデータを送信・保管するIoTサービスも増えています。
ビッグデータを解析するためのソフトウェアを提供する
IoTサービスは、サービス提供に必要なデータを収集するため、ときとして数千~数万個のIoT機器を接続することがあります。たとえば、選挙の際の出口調査や、自動車ナンバーを監視する自動読み取り装置(Nシステム)なども、膨大な量のデータを解析することで価値を生み出しているサービスです。
しかし、IoTデバイスから収集されたデータは、数百テラバイト以上に膨らむことが多く、一般的なデータベース管理システムでは処理することができません。そのため、ビッグデータを効率的に処理するための「基盤」が必要です。
たとえば、複数のマシンを同時に稼働させ、膨大な量のデータを効率的に分散処理する「Hadoop(ハドゥープ)」と呼ばれるオープンソースのプラットフォームが有名です。
こうしたプラットフォームの登場によって、1テラバイトの1,000倍であるペタバイト単位のデータでさえも、素早く効率的に処理できるようになりました。
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IoTプラットフォームの最新トレンドは?欧米の主要ベンダーの横のつながり
IoTプラットフォームを取り巻く状況やトレンドは常に変化しています。
とくに近年顕著なのが、IoTプラットフォームを提供している欧米の主要ベンダーの横のつながりです。
たとえば、米国のAzure IoTを提供するマイクロソフトや、AWS IoTを提供するAWS、ドイツのMindSphereを提供するシーメンスなどの欧米主要ベンダーは、ほかの主要ベンダーと強固な協力関係を築いています。
たとえば、マイクロソフトは日本のコマツのLANDLOGや、ドイツのBMWのOMP:Open Manufacturing Platformと連携し、アライアンスの指導的立場となっています。
シーメンスはドイツ国内のベンダーの多くと協力関係を結んでいるだけでなく、中国やベトナムのベンダーとも連携しています。すでに述べたように、1つのプラットフォーマーだけであらゆるIoTプラットフォームを用意するのは現実的ではありません。
また、ベンダー同士でアライアンスを結ぶことで、同一のプラットフォームで稼働するIoTサービスが増加するため、顧客やユーザーにとって強力なメリットです。
欧米の主要ベンダーが戦略的に協力関係を結ぼうとしているのが、現在のIoTプラットフォームのトレンドです。
一方、日本国内のベンダーの現状はどうでしょうか。
アメリカやドイツと比べると、日本ではIoTへの関心が乏しく、IoTプラットフォームへの本格的な投資がはじまったのは2018年以降のことでした。現在、国産のIoTプラットフォームは多数存在しているものの、欧米の主要ベンダーとの差は、やはりベンダー同士のアライアンスが不足している点にあります。
自社の製品を動かすプラットフォームをすべて自前で用意し、他者との協力関係ではなく競争関係を打ち出す「顧客囲い込みモデル」が依然として主流なのが、国内プラットフォーマーの現状です。
今後、IoTプラットフォームの競争が激化し、シェアが固まっていくと予想されます。国内企業が生き残るためには、マイクロソフトやシーメンスのように、ほかのベンダーと積極的にアライアンスを結ぶ戦略的姿勢が必要です。
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IoTプラットフォームの「水平」「垂直」とは?4つの種類・機能を解説
IoTプラットフォームは、その性質に応じて、「水平型」と「垂直型」の2つに分類することができます。
「水平型」とは、機能性よりも汎用性を追求し、幅広い業種に対応できる横の広がりを持ったプラットフォームです。一方、「垂直型」はオーダーメイドのプラットフォームで、業種の特長に合わせた機能を提供しています。
「水平型」かつ「垂直型」でもあるIoTプラットフォームが理想ですが、開発コストの増大や技術的な問題があります。そのため、現在のIoTプラットフォームは、両者が部分的に融合したものがほとんどです。
水平・業種フルカバレッジ型:あらゆる業種に対応可能な汎用プラットフォーム
「水平・業種フルカバレッジ型」のプラットフォームは、あらゆる業種で利用できる汎用性を追求しているのが特長です。しかし、特定の業種に必要なすべての機能をカバーしているわけではなく、1部の機能しか使えないものも少なくありません。
水平・業種フルカバレッジ型は、基本的なプラットフォームのみを提供しており、ユーザー自身が業種に合わせてカスタマイズする製品が大半です。多くの業種と機能を同時にカバーするプラットフォームの実現は困難で、1部の大手プラットフォーマーによってしか製品化されていません。
垂直・機能フルカバレッジ型:開発から運用までフル活用できるプラットフォーム
「水平・業種フルカバレッジ型」と対象的なのが、「垂直・機能フルカバレッジ型」のプラットフォームです。あらゆる業種をカバーする「水平・業種フルカバレッジ型」に対し、1つの業種に必要な機能をすべてカバーするのが「垂直・機能フルカバレッジ型」の特長です。
IoTサービスを新しく開発・導入する際のサポートや、サービスの運用保守のサポートなども行い、システムの動作環境だけでなく開発環境もワンストップで提供します。
その業種に特化したオーダーメイドでのサービス構築が可能ですが、ほかの業種にそのまま水平展開するのは難しく、事業転換の際はプラットフォームごと入れ替えなければなりません。機能性が高い代わり、汎用性に乏しいIoTプラットフォームです。
垂直・アプリ提供型:開発・導入はせずサービスのみを利用するプラットフォーム
「垂直・機能フルカバレッジ型」から開発・導入サポートの部分を取り除いたものが、「垂直・アプリ提供型」のプラットフォームです。自社でのシステム開発を行わないエンドユーザー向けのプラットフォームで、「開発環境」ではなく「動作環境」のみを提供します。
社内でIoTサービスを利用するケースや、IoTソリューションを導入するケースで必要となるプラットフォームです。しかし、垂直型であるため、ほかの業種へ水平展開することはできません。
垂直・基本機能影響型:特定の目的に特化した垂直型プラットフォーム
IoTプラットフォームの中でも、もっともシンプルなのが「垂直・基本機能影響型」のプラットフォームです。特定の業種の特定の機能に特化したプラットフォームで、垂直展開できる業務も限られています。
たとえば、IoTを使った遠隔監視システムや予防保全システムなどを新しく導入したいが、フルパッケージでのIoTシステムはいらない、というケースでは、ほかのプラットフォームよりも低コストな「垂直・基本機能影響型」が好まれる傾向にあります。
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IoTプラットフォームを選ぶときに重要な3つのポイント
IoTプラットフォームを構築する際、どのような基準で選べばよいのでしょうか。
プラットフォームの選定で失敗しないためのポイントは3つあります。
コネクティビティ:テータ転送やネットワーク通信の能力は十分か
重要なポイントの1つが、「コネクティビティ(Connectivity)」です。IoTサービスはデバイスからデータを収集し、データセンターへ送信します。転送するデータの容量が多い場合は、通信の速度や安定性が求められます。
また、画像や映像など、データの種類によって最適な通信方法が異なります。利用目的に合わせ、最適なプラットフォームを選びましょう。よく使われる通信方法には、有線・無線LANやモバイルデータ通信、Bluetoothなどがあります。
セキュリティ:セキュアな通信が行われ、セキュリティ対策は万全か
近年、IoTデバイスを狙ったサイバー攻撃が多発しています。
2016年、アメリカでマルウェア「Mirai(ミライ)」による史上最大規模のDDoS攻撃が発生しましたが、その際の踏み台となったのが、冷蔵庫やスマートスピーカーなどのIoTデバイスでした。
プラットフォームの選定の際は、データ転送が暗号化されてセキュアな通信が行われているかどうか、デバイス本体のセキュリティ対策は万全かなど、機能性だけでなくセキュリティ面も重視しましょう。
拡張性:さまざまなIoTデバイスと接続でき、他業種への水平展開は可能か
IoTプラットフォームは、多数のIoTデバイスやセンサーを相互に接続し、システムを稼働させるための動作環境を提供しています。
さまざまな種類のセンサーを組み込んだり、数千台~数万台規模のIoTデバイスを接続したりすることを検討している場合は、なるべく拡張性の高いIoTプラットフォームを選びましょう。
とくにIoTデバイスの接続台数が増えると、プラットフォーム側の処理能力が著しく低下してしまうリスクがあります。応答性が高く、レスポンシブなIoTサービスを構築したい場合は注意が必要です。
また、1つの業種ではなく、複数の業種を横断してサービスを展開したい場合は、垂直型のプラットフォームではなく水平型のプラットフォームを選びましょう。
垂直型のプラットフォームは機能性に優れるものの、他業種への水平展開は得意ではありません。
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