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工場の温度・湿度管理の必要性と5つのポイント

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温度と湿度チェック

 

温度管理は工場で働く労働者にも必要!「労働安全衛生規則」を遵守しよう

食品工場等での温度管理は、製品や原材料の品質保持だけでなく、工場で働く労働者の安全衛生の観点からも非常に重要です。「労働安全衛生規則」の第606条では、主に製造業の従事者を対象に、事業者に対して温湿度管理を行う義務を定めています。

第606条
事業者は、暑熱、寒冷又は多湿の屋内作業場で、有害のおそれがあるものについては、冷房、暖房、通風等適当な温湿度調節の措置を講じなければならない。

また、第607条において、「半月以内ごとに一回」を目安として、定期的に気温・湿度を測定することを義務付けています。

極端な暑熱環境や寒冷環境での作業は、労働者にとって深刻な健康リスクがあります。特に食品工場では、オーブンや厨房機器等の熱源や、全身を覆うクリーンウェアの着用が夏場の熱中症のリスクを高め、また冷蔵庫や冷凍庫での長時間の作業が労働者の健康に影響を及ぼす可能性があります。食品¥や原材料の品質管理だけでなく、労働者が安心して安全に働ける作業環境を整えるためにも、工場内部の温度・湿度管理を徹底することが重要です。

出典:e-GOV法令検索「労働安全衛生規則(昭和四十七年労働省令第三十二号)」(令和6年11月12日利用)
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工場における温度・湿度管理の5つのポイント

工場における湿度・温度管理は、取り扱う製品・原材料や作業環境の特性に応じて、きめ細かな調整が求められます。ここでは、「食品工場」「クリーンルーム」「電子機器や精密機器がある場所」「産業用機器や加工機械がある場所」「サーバールーム」の5つのケースに分けて、工場内の温湿度管理のポイントを解説していきます。

「食品を扱う場所」では食品の保管温度に合わせた温湿度管理を

食品工場等、食品の搬入・保管・加工を行う場所では、食品事故の防止のために厳格な温湿度管理が求められます。温度や湿度が高くなりすぎると、黄色ブドウ球菌、サルモネラ菌、カンピロバクター等の食中毒菌が増殖しやすくなり、食品事故を引き起こすリスクが高まります。また、令和3年6月からは、国際的な衛生管理基準である「HACCP(ハサップ)」がすべての食品等事業者に適応されているため、早急に温度管理の仕組みを整えることが必要です。

また、食品の保管に適した温度・湿度は、食品の種類によって異なります。例えば、鶏卵に関しても「乾燥卵」は室温保存が可能ですが、「液卵」は8℃以下、「凍結卵」は-18℃以下での管理が必要です。このように、食品ごとに適切な温湿度管理を行うためには、厚生労働省の「大量調理施設衛生管理マニュアル」に従い、きめ細やかな温湿度管理を実施しましょう。

出典:厚生労働省「大量調理施設衛生管理マニュアル」(令和6年11月12日利用)

「クリーンルーム」では外気が遮断されるため温度・湿度が上がりやすい

食品工場では、細菌や微生物の混入を防ぐために「バイオクリーンルーム」を設置するケースがあります。また、半導体工場や液晶メーカー等でも、空気中のホコリや浮遊微生物を除去する目的で「工業用クリーンルーム」が設置されています。いずれの場合も、外気を遮断して内部環境を制御し、空気中の不純物を防ぐ構造となっているのです。

しかし、クリーンルーム内は外気が遮断されるため、温度や湿度が上がりやすくなります。そのため、クリーンルーム専用のエアコンを設置する等して、温湿度管理を行うことが重要です。クリーンルームの用途に応じて適切な温湿度設定が求められますが、労働者の安全衛生を考慮した一般的な基準として、室温は約23℃、湿度は55%前後に保つのが望ましいとされています。

「電子機器や精密機器がある場所」はサビ・破損に注意しよう

ベルトコンベアー

製造業の生産ライン等、電子機器や精密機器がある場所では、機械の故障やサビの発生を防ぐために厳格な温湿度管理が求められます。特に、静電気の発生による電子回路の破損には注意が必要です。

工場内部の湿度が40%を下回ると静電気が発生しやすくなり、電子機器にダメージを与えるリスクが高まるため、適切な湿度管理が欠かせません。また、湿度が高すぎると空気中の水が冷却されて結露が発生し、これによりサビ(大気腐食)が発生する恐れがあります。こうしたリスクを防ぐため、工場内の湿度は40%~50%を保ち、理想的には50%以下にキープすることが推奨されています。さらに、作業員の健康管理も考慮して、室温は18℃~26℃程度に維持しましょう。

「産業用機器・加工機械がある場所」は熱暴走や労働者の安全確保が必要

産業用機器や加工機械が設置されている場所では、工場全体の空調管理に加えて、機器ごとの個別温湿度管理が重要です。特に金属加工用の切削加工機等、熱を発する機械では適切な温度管理が行われていないと周囲が高温状態となり、機械部品やモーターの熱暴走が発生して、誤作動を引き起こす恐れがあります。機械の種類や工場の設備条件に応じて、機械周辺の空調設備の強化や、冷却塔(クーリングタワー)等の冷却システム等の導入が求められます。

また、産業用機械や加工機械の熱源からは強力な輻射熱が発生するため、周囲で働く労働者の熱中症対策が欠かせません。厚生労働省の「職場における熱中症による死傷災害の発生状況」によると、2019年度から2023年度の間に発生した熱中症による死傷者4,282のうち、約20%にあたる846人が製造業で発生しており、熱中症リスクが高い業種であることがわかります。

このような場所では、熱源に遮蔽物を設置する、大型扇風機やスポットクーラーを導入する等、周辺の温湿度を下げる工夫が必要です。さらに、作業場所の温湿度は少なくとも半月に1回測定し、労働者が安全に働ける作業環境かどうかを定期的にチェックしましょう。

出典:厚生労働省「令和5年職場における熱中症による死傷災害の発生状況(確定値)」(令和6年11月12日利用)

「サーバールーム」ではサーバーの熱暴走・熱障害対策を

意外な盲点となりがちなのが、業務システムやIoTシステムに用いるサーバー機器が設置されている「サーバールーム」です。ここでは、サーバーの熱暴走や熱障害を防ぐために温度管理が欠かせません。サーバーの半導体や電子部品は熱に弱く、周辺の温度が上昇することで故障率が高まります。万が一、サーバー機器の故障やシステムダウンが発生すれば、工場全体の機能が停止し、多額の損失につながるリスクがあります。

サーバールーム内の温度を一定に保つためには、空調システムを導入するだけではなく、サーバーラックに冷却装置を設置することが有効です。また、サーバー機器のサビ防止のためにも、湿度も40~50%前後に維持することが必要です。

 

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