冷風機の仕組みとは?扇風機やスポットクーラーとの機能の違いを徹底解説
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夏の暑さをやわらげるのに役立つのはエアコンだけではありません。水が蒸発するときの気化熱を利用し、涼しい風を送り出すのが「冷風機(気化式冷風機)」です。冷風機は設置が簡単で、キャスター付きの製品なら置き場所を選ばないため、夏の暑さ対策として注目されています。
気象庁によると、日本の平均気温は年々上昇し、2023年には過去30年間の平均気温を1.29℃上回り、過去最大の上昇幅を記録しました※。
蒸し暑い夏を快適に過ごすため、自分に合った暑さ対策を選ぶことが大切です。
この記事では、冷風機が部屋を冷やす仕組みや、扇風機やスポットクーラーとの機能の違いをわかりやすく解説します。
※出典:気象庁:日本の年平均気温(2024年5月15日利用)
冷風機(気化式冷風機)とは?気化熱を利用した暑さ対策
冷風機(気化式冷風機)とは、水が蒸発するときの気化熱を利用し、冷たい風を発生させる機器です。エアコンと違い、熱交換器によって屋内の熱を屋外に逃がすわけではありません。扇風機のように羽根を回転させて風を送り出す製品も多く、冷風機は「冷風扇」と呼ばれることもあります。
冷風機は広範囲の空気を冷やすのには向いていませんが、エアコンよりも消費電力量が少ないため、環境に優しい暑さ対策の1つです。また、冷風機は排熱を行わないため、エアコンのような取付工事がなく、家庭用・業務用を問わず様々な場所で利用されています。
たとえば業務用の冷風機の場合、熱中症対策として作業員の近くに設置されたり、稼働中の機械の熱暴走を防ぐために生産ラインに設置されたりします。
扇風機やスポットクーラーとの仕組みの違い
冷風機と同じく夏場に活躍するのが、扇風機やスポットクーラーです。扇風機は夏の暑さ対策としてお馴染みの機器で、羽根が回る送風機構があり、部屋の空気を循環させます。
一方、スポットクーラーはエアコンとよく似た仕組みを持ち、冷風機(気化式冷風機)とは活用シーンが異なる機器です。冷風機、扇風機、スポットクーラーは仕組みの点でどんな違いがあるのでしょうか。これら3つの機器が部屋を冷やしたり、暑さを緩和したりする仕組みを解説します。
冷風機(気化式冷風機)の仕組み
冷風機(気化式冷風機)は、冷たい風を送り出すため「気化熱」の仕組みを利用しています。水等の液体には、蒸発して気化するときに周囲から熱エネルギーを奪うという性質があります。この奪われた熱エネルギーのことを「気化熱」と呼びます。
気化熱を利用した身近な例が、夏場によく見られる「打ち水」です。打ち水を行うと涼しく感じられるのは、撒いた水が地面から蒸発するときに気化熱が発生し、周囲の熱エネルギーが奪われるためです。
冷風機には、気化熱を効率よく発生させるための「冷却エレメント」という部品があります。タンクの中の水を冷却エレメントに浸透させ、ファンを回転させて勢いよく空気を送ると、冷却エレメントの内部で水が蒸発します。このときに気化熱が発生し、冷却エレメントを通り抜けた空気がひんやり冷たくなる仕組みになっています。
扇風機の仕組み
一方、扇風機には冷風機のように空気を冷やす仕組みはありません。一般的な扇風機はモーターの力で羽根を回転させ、風を生み出す家電です。羽根の枚数は3~7枚の製品が多く、羽根の数が増えるほど優しい、自然に近い風当たりになります。
扇風機は直接涼しい風を生み出すわけではありませんが、汗をかいているときや入浴後等で肌が濡れているときに扇風機を使うことで、肌の表面で気化熱が発生し、涼感を得られます。
扇風機は「サーキュレーター」と混同されますが、利用目的が異なります。サーキュレーターは強い風を一方向に吹きつけることで、部屋の空気を撹拌するための家電です。冷たい空気は床に溜まりやすいため、部屋の温度を均一化したい場合はサーキュレーターが適しています。近年は縦型の扇風機や羽根なしタイプの扇風機も登場し、人気を集めています。
スポットクーラーの仕組み
工場や作業場、倉庫等の暑さ対策として、スポットクーラーも活躍しています。スポットクーラーは「スポットエアコン」とも呼ばれ、室内機と室外機が一体化しているため、エアコンのような取付工事が不要なのが特長です。
スポットクーラーが部屋を冷やす仕組みは、エアコンとよく似ており、熱交換器を通じて屋内にこもった熱を屋外に逃がします。しかし、一般的なエアコンではパイプの中に冷媒を流し、部屋の外に冷媒を介して熱を逃がすため、室内機と室外機で空気のやりとりは発生しません。
スポットクーラーはエアコンと違い、室内機と室外機が一体化しているため、冷たい空気が部屋の温度を下げる一方で、排気口から熱い空気が排出されます。そのため、スポットクーラーを設置する場合は、ホース上の延長排気ダクト等を別途用意し、室外に排熱する必要があります。
扇風機やスポットクーラーとの機能面の違いを比較
冷風機、扇風機、スポットクーラーの3つは、それぞれ温度を下げる機能や、利用できる範囲が異なります。また、注意が必要なのが「消費電力量」「騒音値」の2点です。
利用目的や利用場所に合わせ、最適な暑さ対策を選ぶことが大切です。扇風機やスポットクーラーとの機能面の違いを表にまとめました。
冷風機 (気化式冷風機) |
扇風機 | スポットクーラー | |
購入価格 | ○ 安い |
◎ 安い |
△ 高い |
設置場所 | ◎ どこでも可 |
◎ どこでも可 |
△ 室外への排熱を考慮する必要がある |
設置工事 | ◎ 不要 |
◎ 不要 |
◎ 不要 |
消費電力量(目安) | ○ 少ない 製品によってはモバイルバッテリーでも動作可能 |
◎ 非常に少ない 一日中つけっぱなしにすることも可能 |
△ 多い 製品によるが、扇風機の約22倍、冷風機の約9.5倍の消費電力量 |
騒音値(目安) | ○ 小さい 機器の近くでも楽に会話できる |
◎ 非常に小さい 機器によっては静音設計のものもある |
△ 大きい 機器の近くで会話するときは少し大きな声を出す必要がある |
冷却能力 | ○ 小さい 冷風により機器の近くの温度は下がるが、部屋全体を冷やす用途には向いていない |
△ 限定的 空気を冷やす仕組みがなく、利用環境によっては全く涼感を得られない |
◎ 熱交換器を搭載し、部屋全体の温度を下げられる。 ただし、冷却能力はエアコンより劣る |
連続運転 | △ 運転する前にタンクに水を補給する必要がある |
◎ 可能 |
◎ 可能 |
締め切った場所での利用 | △ 気化熱を利用する仕組み上、部屋の湿度を上昇させる点に注意が必要 |
◎ 問題なし |
◎ 問題なし |
衛生面 | △ タンクに水を入れるため、定期的な清掃が必要。 また、部屋の湿度上昇により、カビが発生しやすくなる |
○ 羽根等の定期清掃のみ |
◎ フィルター清掃機能が搭載された製品もあり、衛生的に利用可能 |
冷えすぎ防止対策 | ○ 適度に室温を下げられるため、冷えすぎを防止できる |
◎ 空気を冷やす仕組みがなく、お年寄りの方でも安心 |
△ 部屋全体の温度を下げるため、冷えすぎに注意が必要 |
冷風機は扇風機と同様に取付工事が必要なく、消費電力量が小さい冷房装置です。部屋の温度を適度に下げるため、冷えすぎを起こしにくく、お年寄りの方でも安心して使えます。また、スポットクーラーよりも騒音値が低く、快適に利用できます。
冷風機は設置場所を選びませんが、利用する際に部屋の湿度を上昇させる点に注意が必要です。冷風機を利用する場合、「部屋の湿度が上昇しても問題ない」「部屋全体の空気を冷やす必要がない」場所が適しています。
冷風機のメリット・デメリットを比較
冷風機(気化式冷風機)には置き場所を選ばず、電気料金がエアコンやスポットクーラーよりも安いというメリットがあります。また、部屋が冷えすぎないため、夏場に起きやすい「クーラー病」を予防できます。
しかし、冷風機にはメリットだけでなく、デメリットもあります。たとえば、気化式冷風機は水が蒸発するときの気化熱を利用するため、部屋の湿気を上昇させます。夏の暑さ対策として冷風機を導入する場合は、メリット・デメリットの両方を比較しましょう。
冷風機の3つのメリット
夏場の暑さ対策として、冷風機を使うメリットは次の3つです。
- 排熱を行わないため、置き場所を選ばない
- エアコンやスポットクーラーよりも電気代が安い
- 部屋の温度を適度に下げるため、冷えすぎを防止できる
冷風機の仕組みについて解説した通り、冷風機は水が蒸発するときの気化熱を利用し、冷風を送り出します。熱交換を行わないため、排熱を考慮せず好きな場所に設置できます。
取付工事が必要なエアコンはもちろん、スポットクーラーの場合も延長排気ダクト等を別途用意したうえで、排熱を考えて置き場所を選ぶ必要があります。扇風機と同様、気軽に設置できるのが冷風機の強みです。
また、冷風機はエアコンやスポットクーラーよりも消費電力量が小さく、電気代を抑えられます。製品にもよりますが、スポットクーラーの消費電力量は冷風機の約9.5倍程度です。冷風機であれば、扇風機のように一日中つけっぱなしでの運用でも問題ありません。ランニングコストの削減や、省エネを考える場合は、エアコンやスポットクーラーよりも冷風機の導入がおすすめです。
夏の暑さ対策の問題点として、冷えすぎにより自律神経が乱れ、体調不良を引き起こす「クーラー病(冷房病)」が挙げられます。特にエアコンやスポットクーラーのように部屋全体の温度を下げる冷房機器で発生しやすい症状です。冷風機は適度に気温を下げるため、体への負担がそれほど大きくありません。
冷風機の3つのデメリット
一方、冷風機にはデメリットも3つあります。
- 冷却性能が限定的で、部屋全体の温度を下げるわけではない
- 運転中は部屋の湿度が上昇する
- 定期的に水の補給を行う必要がある
冷風機はエアコンやスポットクーラーのように部屋の熱を外に逃がし、部屋全体の温度を下げる冷房装置ではありません。気化熱を利用して冷たい風を吹き出し、周辺の暑さをやわらげるための冷房装置です。そのため、広い部屋を冷やす場合や、部屋全体の室温を調整したい場合は、エアコンの方が向いています。
また、水を蒸発させて気化熱を発生させる過程で、部屋の湿度を上昇させてしまう点に注意が必要です。じめじめした夏場は湿度が上がりやすいため、締め切った場所で使うとカビの原因となる可能性があります。部屋の湿度が気になる場合は、スポットクーラーの方がより適しています。スポットクーラーには除湿機能がある製品も多く、締め切った場所でも快適に使うことが可能です。
冷却効果を得るためには、定期的に冷風機のタンクに水を補給しなければなりません。製品にもよりますが、水の補給を行わずに連続運転できる時間の目安は6~8時間程度です。水を補給する手間をなくしたい場合は、設置場所が限られますが、自動給水装置がついた冷風機を導入する方法もあります。
夏の暑さ対策におすすめの冷風機をご紹介
冷風機は家庭用・業務用いずれの場合も夏の暑さ対策におすすめです。しかし、冷風機はメーカーや製品によって用途や機能が異なります。たとえば、価格、冷房能力、本体重量、騒音値、稼働時間等に違いが生まれるため、本当にニーズに合った冷風機かどうか事前に確認することが大切です。
ここでは、工場や倉庫、畜舎、野外イベント等の様々なシーンで活用いただける業務用の冷風機「HaiLan」を紹介します。
HaiLanは、大型のファンが搭載され、冷風をパワフルに送り出すことが可能な冷風機です。省エネルギー性も高く、冷房能力とエコを両立できる点も魅力です。気化式の冷風機のため省電力で利用でき、圧縮機が搭載されておらず排熱が出ないため、工場や倉庫等の屋内でも利用いただけます。
メーカー名 | アメフレック |
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商品名 | HaiLan(ハイラン) |
品番 | HP24BXR |
ファン径 | 630mm (24インチ) |
メーカー名 | アメフレック |
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商品名 | HaiLan(ハイラン) |
品番 | HP36BXR |
ファン径 | 900mm (36インチ) |
空調服®等の熱中症対策グッズもあります
夏の暑さ対策なら、設置が簡単で電気料金が安い冷風機がおすすめ
夏の暑さ対策として、水が蒸発するときの気化熱を利用した「冷風機(気化式冷風機)」を選ぶ人が増えています。冷風機には設置場所を選ばず、エアコンやスポットクーラーよりも電気料金を節約できるというメリットがあります。
一方、扇風機のように冷たい風を送り出すという冷風機の仕組み上、スポットクーラーほど効率的に部屋の温度を下げることはできません。また、冷却の際に湿度が上昇するため、冷風機の利用場所によっては注意が必要です。
冷風機の仕組みやメリット・デメリットを知り、ニーズに合った冷房装置を選びましょう。
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