CtoCとは?BtoBとの違いや市場規模について
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CtoCとは?
CtoC(Consumer to Consumer)とは、日本語では「個人間取引」と呼ばれ、サービスやプラットフォームを介して消費者(Consumer)から消費者(Consumer)へモノやサービスを直接販売するビジネスモデルのことです。
例えば、メルカリでは雑貨やコスメ、洋服、家具や家電等を個人間で簡単に取引でき、Airbnbでは空き部屋を探すユーザーと宿泊先を提供するユーザーをマッチングすることで個人間取引を実現しています。このようなCtoCプラットフォームは国内外で巨大市場を形成しており、日本市場でも急成長しています。
このCtoCというビジネスモデルを支えているのが、「シェアリングエコノミー(共有経済:Sharing Economy)」と呼ばれる新しい経済概念です。シェアリングエコノミーでは、企業がモノやサービスを生産・販売するのではなく、個人が持つ資産やスキルを共有することが重視されています。多くのCtoC企業はこの共有経済を基盤とし、個人が自由に取引を行えるプラットフォームを提供しています。
CtoC企業は、主に取引に参加するユーザーからの手数料より収益を得ています。シェアリングエコノミーの考え方を取り入れたCtoCは、日本市場にも新たなイノベーションを起こし、従来の消費スタイルを大きく変えつつあるのです。
ほかのビジネス形態との違い
国内外のビジネスシーンでは、CtoCのほかにもBtoBやBtoC、BtoE、さらにはBtoGやGtoC等、CtoCとよく似た言葉が用いられています。これら5つの用語は、CtoCとは異なるビジネス形態です。ここでは、CtoCと5つのビジネス形態の違いを説明します。
BtoB:企業間の取引のこと
BtoB(Business to Business)とは、企業(Business)が企業(Business)を相手に行うビジネスモデルです。
ビジネス用途の業務システムやオフィスで利用する事務用品、商品のパッケージや広告デザインの制作等、企業向けにモノやサービスを提供するビジネスはすべてBtoBに含まれます。近年では、企業の購買プロセスがデジタルへとシフトしたことで、ネットビジネスの分野でもBtoB企業が急成長しています。
また、BtoB向けのECサイトを開設し、企業がいつでも商品やサービスを購入できるサービス形態が普及するようになりました。
BtoC:消費者向けの取引のこと
BtoBとは異なり、企業(Business)が消費者(Customer)を相手に取引を行うのが、BtoC(Business to Customer)と呼ばれるビジネスモデルです。
BtoCでは、業務用のモノやサービスではなく、一般消費者が利用するモノやサービスが販売されます。BtoCの代表的なビジネスモデルがECサイトです。ECサイトでは、企業が自社の商品やサービスをインターネット上で消費者に直接販売します。また、CtoCではあくまでも消費者間の取引を支援するプラットフォームを提供しますが、BtoCでは企業が消費者に直接販売するためのWebサイトを運営するという違いがあります。
BtoE:従業員向けの取引のこと
企業や一般消費者を相手にするのではなく、自社の従業員を対象とした商取引も存在します。
例えば、事務用品や生活用品を割安で従業員に向けて販売したり、従業員が自社のサービスを利用する際に割引を適用したりするケースです。自社の従業員をターゲットとするビジネスモデルはBtoE(Business to Employee)と呼ばれ、BtoBやBtoCとは異なるカテゴリーに分類されます。
BtoEのメリットは、「身近な従業員がターゲットのため、確実に顧客を囲い込めること」「従業員に割引価格で商品やサービスを提供することで、福利厚生を充実させられること」です。そのため、食事補助や割引価格での旅行・休暇制度等、BtoEを導入する企業が増加しています。
BtoG:行政向けの取引のこと
商取引の相手は、法人や一般消費者、従業員だけではありません。企業(Business)が、国や行政(Government)向けにモノやサービスを提供するビジネスモデルのことをBtoG(Business to Government)と呼びます。
BtoGの代表的な事例として、道路工事をはじめとした公共事業の入札制度が挙げられます。また、政府や自治体が利用するための消耗品の販売を手がけるBtoG企業もありますが、取引相手が国や行政であるため、新規参入が活発な市場ではありません。しかし、国や行政という安定したビジネスパートナーを得られる点が、BtoGの魅力です。
GtoC:行政から消費者へ
BtoGとは逆に、国や行政(Government)が一般消費者(Customer)向けにモノやサービスを提供するビジネスモデルをGtoC(Government to Customer)と呼びます。
GtoCは、私たちの身近に存在するビジネスモデルです。例えば、住民票や戸籍謄本、パスポートの発行、オンラインでの納税や確定申告が可能な国税電子申告・納税システム(e-Tax)のサービス提供、さらに地方自治体が運営する図書館やスポーツジム等も、GtoCの代表的な事例といえます。
CtoCサービスのメリット
企業がCtoCサービスを提供することには、買い手や売り手、プラットフォーマーそれぞれにメリットがあります。ここでは、それぞれの視点から見たメリットを解説します。
買い手や売り手から見たCtoCサービスのメリット
消費者がモノやサービスを融通し合うシェアリングエコノミーでは、企業から直接購入するよりも、比較的安価にモノやサービスを手に入れることができます。
例えば、中古品の雑貨やコスメ、洋服、家具や家電を手軽に安価に購入できる「メルカリ」は、代表的なCtoCサービスの1つです。そのため、買い手にとって「モノやサービスをより安く手に入れられる」ことがCtoCサービスの大きなメリットといえます。
一方、売り手側も不用品や余剰資産、空いた時間の労働力等を提供し、手軽に対価を得られるため、買い手と売り手のニーズが合致しやすいことがCtoCサービスの特長です。
プラットフォーマーから見たCtoCサービスのメリット
一方、プラットフォーム側にはどのようなメリットがあるのでしょうか。一般消費者を相手に自社の商品やサービスを販売するBtoC企業とは異なり、CtoCサービスは余剰在庫や不良在庫を抱えるリスクがないことが大きなメリットです。
CtoCサービスのプラットフォーマーの主な収益源は、サービスの利用料金や商品の取引価格の一部を差し引く手数料です。プラットフォーム上で取引される商品は消費者同士が提供するため、原則としてプラットフォーマー側が在庫を抱える必要がありません。
このように、CtoCのプラットフォーマーは余剰在庫や不良在庫のリスクを負うことなく、利用者が快適に取引できるようプラットフォームの改善やプロモーションに集中できる点が、CtoCビジネスモデルの強みといえます。
CtoCサービスのデメリット
一方、CtoCサービスにはメリットだけでなくデメリットもあります。これからCtoCへの参入や、自社のCtoCサービスのさらなる拡大を目指す企業は、CtoCサービスのメリットとデメリットの両方を知ることが大切です。ここでは、CtoCサービスのデメリットを買い手や売り手、プラットフォーマーそれぞれの視点から解説します。
買い手や売り手から見たCtoCサービスのデメリット
買い手や売り手から見たCtoCサービスのデメリットには、「トラブル発生時の責任の所在」と「決済時の保証の問題」の2点が挙げられます。
多くのCtoCサービスでは、個人間の取引でトラブルが発生した場合、プラットフォーム側が責任を負わないのが一般的です。事業者はトラブル防止のために利用者向けのルールやガイドラインを整備し、サポート窓口を設けていますが、個人間の取引で発生するトラブルは当事者同士のモラルや自己解決に委ねられるケースが少なくありません。
そのため、買い手や売り手が商品のキャンセルや返品、配送の遅延、送料負担の有無等のトラブルに巻き込まれた場合、相手によっては不誠実な対応をされ、さらなるトラブルに発展する恐れがあります。
また、決済時の保証がない点もCtoCサービスのデメリットです。BtoBのECサイトとは異なり、取引相手は企業ではなく一般消費者のため、決済を行っても商品が確実に発送される保証がありません。悪質な出品者の場合、商品が送られてこないケースもあります。
こうしたリスクを軽減するため、CtoC企業では「エスクロー方式」等の対策がとられています。エスクロー方式とは、プラットフォーマーが買い手の入金と売り手の発送を確認してから代金を支払う仕組みです。決済時のトラブルを防ぐために、CtoC企業はさまざまな工夫をしています。
プラットフォーマーから見たCtoCサービスのデメリット
前項で述べたように、CtoCサービスの収益源は、ユーザーからの会員料金や利用手数料等です。CtoCサービスを成功させるには、自社のプラットフォームの利用者を増やし、定着させるためのプロモーション戦略が不可欠です。そのため、市場の開拓や顧客の獲得にコストがかかる点がCtoCのデメリットといえます。
CtoCの市場規模
国内のCtoC市場は、近年目覚ましい成長を続けています。経済産業省が実施した「令和5年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)」によれば、、2023年のCtoC物販分野の流通総額は2兆4,817億円に達し、前年の2兆3,603億円から5%増加しました。このようなCtoC市場の成長には、フリマアプリ市場の拡大が大きく寄与しているとされています。
また、CtoC市場規模の拡大には新型コロナウイルス感染症の影響も大きく関わっています。2020年から2021年にかけて感染拡大により実店舗での買い物が制限され、CtoC物販サービスの利用者が急増しました。しかし、2022年以降は実店舗への回帰傾向も見られるため、市場の成長率は比較的緩やかに推移しています。
出典:経済産業省 商務情報政策局 情報経済課
「令和5年度電子商取引に関する市場調査報告書」(令和6年10月30日利用)
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CtoC市場の将来性について
今後もフリマアプリの普及や消費者の節約志向によって、CtoC市場は安定した成長を続けると予測されますが、その成長率はコロナ禍初期の急成長と比較すると、より穏やかになると考えられます。
また、CtoCというビジネスモデルの背景には、シェアリングエコノミーの考え方があります。安価にモノやサービスを入手できるシェアリングエコノミーの概念は、若い世代を中心に広く浸透しており、「モノやサービスを所有せず、共有する」という考え方が多くの消費行動に反映されているのです。その結果、個人間取引の場を提供するCtoCプラットフォーマーの需要が高まっています。
こうしたシェアリングエコノミーへの消費者ニーズの高まりに応えて、多くの企業がCtoC市場に参入を試みており、CtoC事業に特化したベンチャーやスタートアップ企業も増加しています。
一方、CtoCの物販分野では「メルカリ」や「ラクマ」、民泊サービスでは「Aribnb」といった大手企業によるプラットフォームの寡占が進んでいるのが現状です。そのため、新規参入する企業は、CtoCのメインユーザーではないシニア層をターゲットに訴求する等、独自のプラットフォーム戦略を打ち出しています。
代表的なCtoCサービス
日本でも様々なプラットフォームを提供するCtoCサービスが存在します。その代表例が、「メルカリ」と「チケット流通センター」です。
メルカリは、雑貨やコスメ、洋服、家具や家電等を個人が自由に売買できる「フリーマーケット市場」をオンラインで提供するCtoCサービスです。若年層からシニア層まで幅広い年齢層のユーザーに支持されているのが特長で、プラットフォームの利用手数料を主な収入源としています。
一方、チケット流通センターは「予定が変わり購入したチケットが不要になった」「入手できなかったチケットを譲り受けたい」といった買い手と売り手のニーズに答えるCtoCサービスです。チケットの安全な取引を確保するため、紙のチケットはプラットフォーマーが必ず確認する等の偽造防止を徹底しており、ユーザーが安心して利用できる環境を整えています。
CtoCのビジネスモデルの強みと弱みを理解しよう
CtoC(Consumer to Consumer)とは、消費者(Consumer)と消費者(Consumer\)が相互にモノやサービスを融通し合うビジネスモデルです。CtoC企業は、消費者が取引を行うためのプラットフォームを提供し、その利用料金や手数料を主な収益源としています。
日本の代表的なCtoCサービスには、フリーマーケットアプリの「メルカリ」や、不要なチケットの売買が可能な「チケット流通センター」があります。CtoCサービスは、プラットフォーム事業者が不良在庫を抱えるリスクがないという点がメリットです。一方で、新規顧客獲得やユーザーの定着を図るためには、綿密なプラットフォーム戦略が求められるというデメリットがあります。CtoCのビジネスモデルの強みと弱みを理解することが重要です。
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