マテハン機器とは

倉庫や物流センター内で広く利用されるデバイスは、様々あります。例えば、「ネステナー」は、物流センターで広く利用される保管棚(ラック)です。パレットに積載した貨物をフォークリフトで数段積み重ねて保管することで、保管効率が大幅に向上します。

マテハン機器とは

「ネステナー」は、マテハン機器と呼ばれる物流のカテゴリーに分類されます。マテハンとは、マテリアルハンドリング機器(Material Handling Equipment)の略称で、物流現場における生産性向上や作業効率化を実現するための荷役機器を指します。

マテハン機器の主な目的は、荷物の積み下ろしや運搬といった重労働を可能な限り軽減することです。人力では運べない重量物(原材料等)を搬送するだけでなく、格納や保管、仕分け、梱包といった作業にも活用され、物流現場の様々な工程で重要な役割を担います。

マテハン機器の種類

倉庫や物流センター等、物流現場で利用されるマテハン機器は非常に幅が広いため、入庫から出庫まで代表的マテハン機器の一部を作業別に分類してみましょう。

物流現場への入庫

倉庫・物流センターにトラックが到着したら、荷物を庫内に格納します。入庫時の作業で利用される主なマテハン機器は、以下の通りです。

ドッグレベラー

倉庫や物流センターのトラックバースにおいて、トラック荷台とプラットホームの段差を解消するデバイスが「ドックレベラー」です。エアや油圧等を動力源としてレベラーが上昇し、建物の搬出入口(プラットフォーム)と、コンテナやトラックの荷台との段差や高低差をなくします。

ドッグレベラーを導入することで、フォークリフトや台車による積み下ろしが容易になり、人による荷役作業の負担を軽減することが可能です。これにより、作業の効率化と生産性の向上が図れます。また、荷物の破損を防止し、より安全でスムーズな荷役作業が実現します。

フォークリフト

フォークリフトは、油圧を利用して昇降・傾斜が可能な荷役用のツメを車体前面に備えた動力付き荷役運搬車両です。ツメの上昇時に伴い、マスト(支柱)も伸びるため、車体より高い場所の荷物も扱うことができます。フォークリフトの動力源には、バッテリー式、ガソリンエンジン式、ディーゼルエンジン式の3種が多く用いられています。近年では、燃料電池式のフォークリフトも国内外で登場し、環境負荷低減への取り組みが進んでいるのです。

物流現場における搬送・保管

入庫作業が完了すると、次に搬送。保管作業を行います。搬送・保管作業で利用される主なマテハン機器は、以下の通りです。

コンベヤ

コンベヤは、物を連続的に一定の距離だけ運搬できる自動装置です。主な種類として、ベルト式、チェーン式、ねじ式等があります。近年、物流センターで導入が進んでいるローラーコンベヤは、平行に並べたフレームの間に回転するローラーを配置した構造で、段ボール等の荷物を効率よく搬送するのに最適です。

無人搬送車(AGV)

無人搬送車(AGV)は、Automatic Guided Vehicleの略称です。物流センターの床に磁気テープや磁気棒を設置し、搬送用台車がその起動に沿って自動で移動します。また、AGVにはコンベア型、平ボディ型、低床型、牽引型AGV等、重量や用途に応じて様々なタイプがあります。

自動倉庫

自動倉庫は、荷物やパレットをスタッカーラック(荷棚)に自動で収納し、製品の受入から出荷までの一連の流れを一元管理するオートメーションシステムです。スタッカークレーンや制御装置、在庫管理装置の導入と、物流センター独自の管理システムの構築により、入出庫作業の自動化を実現します。

自動倉庫には、パレット単位で荷物を保管するパレット式、不定型な荷姿を保管するタイプのバケット式、荷物サイズや形状、重量にとらわれず柔軟に収納できるタイプのフリーサイズ式のほか、棚そのものを移動台車に積載し、密集した保管を可能にするタイプの移動棚等もあります。

物流現場の仕分け・梱包・出庫

搬送・保管が完了すると、出荷指示に基づいた仕分け・梱包・出庫作業にうつります。仕分け・梱包・出庫作業で利用される主なマテハン機器は、以下の通りです。

ソーター

コンベヤで搬送される荷物を、出荷先別や品目別等に自動で仕分ける装置です。短時間で正確かつ大量の荷物を効率的に仕分けできます。主な種類として、ケース品(段ボール)に対応するスライドシュー式やピース品(バラ)に対応するのスライドシュー式があります。

デジタルピッキングシステム

表示器を用いたピッキング支援システムです。物流現場でピッキング作業の負荷が大きいため、マテハン機器の導入が年々進んでいます。作業者は、表示器のランプが光った位置に移動し、指示された数量の商品を取り出します。表示器の指示に従うことで、誤作業を大幅に削減し、正確かつスピーディーに作業を進めることが可能です。

自動製函機

シート状の段ボールを自動で箱に成形する装置です。作業者はピッキング後、商品と明細書等を同梱するだけで、梱包作業が完了します(検品作業の有無は物流センターによって異なります)。

その後、成形された段ボールはコンベヤで出荷待機場まで運ばれ、仕向け地別に一時保管されるのです。担当ドライバーが到着すると、荷物が引き渡され、物流センターから出庫されます。

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