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ウィング車とは?種類やメリット・デメリットを解説【物流用語】

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ウィング車とは?

ウイング車とは、バン型車の荷室側面から天井部分まで一体的に跳ね上げて、側面から積み下ろしを容易にするトラックです。この構造により、フォークリフトによるパレット荷役が可能となり、省力化を実現できます。荷台部分の側面が鳥の翼のように跳ね上がることから、「ウイング車」とも呼ばれています。

ウイング車のウイングボディは、荷台部分はアルミの箱で覆われているため、走行時の荷崩れを防ぎ、また雨風等外部からの汚れや損傷から荷物を守ることができ、長距離輸送にも適しているトラックです。

従来のバンボディでは、荷台の後方部からの積み下ろしを行いますが、これには荷物の出し入れの順番を考慮する必要があり、荷室奥まで荷物を詰め込むと荷下ろしに時間がかかることも少なくありません。一方、ウイング車は側面からの積み下ろしが可能であり、この合理的な設計が高く評価されています。そのため、多数の架装メーカーがウイング車市場に参入し、販売台数も年々増加しているのです。日本自動車工業会発表の普通トラック市場動向調査(2018年度)では、ウイングボディが運輸業で最も高いシェア(40%)を占めており、冷蔵車や冷凍車、保冷車にも採用されています。

ウイングボディの開き方には以下のような3つのタイプがあり、積み荷の種類、積み方や倉庫の大きさ等に応じて使い分けられています。

(1)フレキシブルオープンタイプ

ウイングの開く方向や角度を柔軟に変更できるタイプです。ウイングの開き方を細かく調整できるため、トラックバースや倉庫の屋根等の高さに制限がある場合に適しています。

(2)ターンオーバータイプ

片側のウイングが車両の中心線を超え大きく開くことができるタイプです。ウイングが最大160度程度まで開くため、クレーンを利用した積み下ろし作業に適しています。

(3)上昇開閉タイプ

開口部を広く取ることができるように、天井が上昇するアルミウイングです。天井が上昇することで荷台の高さに余裕が生まれ、荷物を最大限に積むことができます。

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他のトラックとの違い

一般的なトラックは、荷台後方に開閉扉があり、そこから荷物を出し入れする形式が主流です。この形式のトラックは「パネルバン車」「アルミバン車」「ドライバン車」等と呼ばれています。後方のみが開口部となるため、特に荷室の奥にある荷物の積み下ろしには時間と手間がかかり、作業効率がが低下することも少なくありません。

一方、ウイング車は側面のパネルが大きくオープンするため、荷物の出し入れが非常に容易で、作業効率が向上します。この特長により、ウイング車は工場や倉庫からの大口輸送や、長距離輸送に多く利用されているのです。輸送する荷物の特性や積載量、さたに出荷先や入荷先の拠点の形状や積み込み方法に応じて、ウイング車を選択することで、輸送の効率性が大幅に向上します。

 

ウイング車のメリットとは

ウイング車の最大のメリットは、両サイドがオープンになる構造です。このため、荷物の積載方法が通常の「箱型」トラックとは大きく異なり、作業効率が大幅に向上します。

箱型トラックで荷物を積み込む際は、トラックバースに後退で接車し、荷台後方の開閉扉からのみ作業を行います。この形式では、フォークリフトの利用が難しいことがありますが、ウイング車なら側面からフォークリフトを利用して荷物の積み下ろしが可能です。これにより、開閉扉から積載が困難な形状やサイズの荷物でも、容易に積み込むことができます。また、ウイング車の荷室は密閉された空間となるため、積み荷の汚れや破損、盗難を防ぐ効果もあります。

このように、ウイング車はフォークリフトを用いた荷役作業で大きな効果を発揮することが可能です。さらに、パレット積みにも対応しており、手作業による積み下ろしの負担を大幅に軽減します。結果として、作業効率が格段に向上し、高い輸送品質と荷役性を両立させるボディタイプであると言えます。ウイング車は、物流業界の労働力不足解決に向けた重要なカギとなるでしょう。

さらに、物流用途以外でもトラックが乗り入れられる場所では、簡易的な野外ステージとして利用することが可能です。荷室がステージとして早変わりするため、音響設備を搭載すればコンサートを開催することもできます。

 

ウイング車のデメリットとは

ウイング車は車体の側面が開放するため、積み下ろし作業の際に車両上部に十分な空間が必要です。バースの高さが不足している場所では作業が不可能となり、荷物の積み込みはトラックバースから少し離れた場所で行う必要があります。このため、フォークリフトを利用するための作業場スペースが求められます。

また、ウイング車は荷物の積み下ろしの時に誤作動や誤操作による事故のリスクも少なくありません。特に、ウイングを開けたまま走行してしまい、天井等に接触させてしまう事故が多発しています。このような事故を防ぐため、エンジンが停止している状態でのみウイングを操作できる安全装置を装着した車両が増えてくるようになりました。

さらに、ウイング車にはモーターや油圧装置等の開閉機構が搭載されているため、車両重量が増加します。車両重量が増えると燃費が低下するだけでなく、トラックの最大積載量も減少するのです。また、ウイング車の架装には追加コストがかかることから、車両価格も高くなります。

これらのデメリットを踏まえ、荷役作業の生産性向上と追加コストを慎重に比較検討した上で、ウイング車の導入を検討することが重要です。

 

ウイング車を扱う際の注意点

ウイングの開閉動力には、手動・油圧・電動モーター等で行うタイプがありますが、長期間安全に利用するためには、特に注意すべきポイントが2つあります。

(1)定期的なメンテナンス

ウイングの正常な開閉動作や、荷台部分の防塵・防水性を維持するためには、定期的なチェックやメンテンナンスを欠かすことができません。

ウイングの開閉は油圧と電動モーターで作動するため、油圧機構周りを重点的にチェックする必要があります。日常的な動作確認や自然降下のチェックも重要です。例えば、ウイングを50㎝持ち上げた後、10分後に10㎝以上自然に下降しないかを確認します。もし下降が見られる場合は、油圧系への空気の混入や油漏れが発生している可能性があるため、異常が疑われます。

また、防塵・防水性を確保するためには、センターシートが破れていないか、ウイングの開口部のシールゴムが切れていないかも確認しましょう。小さな破損や切れ目から埃や水が侵入する可能性があるため、問題を発見したらすぐに交換することが推奨されています。

(2)ウイングの開閉時や積載時に注意を払う

トラック停車後、ウイングを開閉する際には、周囲の建物や障害物に接触しないかを目視で確認することが重要です。接触の有無だけではなく、開いたウイングが照明等の熱源に近づきすぎていないかも注意しましょう。高熱によってウイングが溶けたり、変形したりするリスクがあります。

また、左右のウイングを同時に開放すると、モーターに過剰な負荷がかかり、故障の原因となるため注意が必要です。

荷物を積載する際は、前後左右でバランスよく配置することが求められます。荷物が片側に集中したまま運転すると、タイヤの片減りだけではなく、横転事故や車両の破損につながる可能性がありますので、十分に注意してください。

 

まとめ

ウイング車は、物流業界で課題となっている労働力不足を解決する糸口となるツールです。車両積み下ろしはドライバーに依存するケースが多く、これが物流業界の長時間労働の原因の1つとなっています。

ウイング車を活用し、フォークリフトを利用した作業を簡素化できることで、ドライバー不足の現状を打破する可能性が高くなります。これにより、労働時間の短縮や効率化が進み、物流業界の働き方改革にもつながると期待されているのです。

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